2019年02月23日

上野東京ラインの緊急停止ボタンで痛い目に遭った人を見た話。アレ?そのボタンの名前違う?

今月6日のこと。
上野東京ラインに乗っていて、もうすぐ東京に到着する頃でした。

車両の隅っこで、何かドタバタ慌てた感じがあり、その後、少ししてから電車は緊急停車。
緊急停車してすぐに、社内の蛍光灯が消え、電光掲示板も消えました。
少ししてから、誰かと車掌さんと話す声が聞こえました。

人が倒れました
どんな様子ですか?
倒れた後、今は座っています。次の東京駅まではなんとかなるそうなので、走り始めて下さい
次の東京駅まではなんとかなりますね?
はい

東京駅までは、あと数分で着くくらいの頃だったので、このまま走り出すのかな?と思っていたのですが、なかなか走り出しません。
しばらくすると放送が流れ、列車が停止してはいけない位置に停止したこと、安全確認が必要であることが告げられました。
そのまま待つこと10分少々。
ようやく電車は動き出し、10分以上の遅れで東京駅へ到着しました。

この電車の遅れについて、誰か悪いことをしたのかと言えば、そういうわけでもない。
ただ、勇気のある人は、あるいは勇気を振り絞った人が、倒れた人を見付け、果敢に緊急停止ボタンを押しただけ。

その結果、何が起きたかといえば、何もしなければあと少しで着くはずだった東京駅に、10分以上遅れて到着した。
倒れた方の苦しみが10分延びてしまった。

もうすぐ次の駅に着くのであれば、緊急停止ボタンを押さない方が、より正しい選択なんじゃないか?とも思えます。
しかし、満員電車の中で、あとどれくらいで次の駅に着くかはわかりにくいですし、そもそも、とっさの判断でそんなことを考える余裕があるかどうかも怪しい。
なにかこう、とっさに選べる、より良い方法が選択肢として提示されるべきでは?と思った、2月6日でした。

そこあと見かけたこちらの記事がありました。

体調の悪い方がいます!緊急停止ボタンを押してください!」という女性の大きな声が響きました。で始まるこちらの記事。

緊急停止ボタンを押させない圧力を掛ける周りの大人達、あまりにも押されないボタンについて書かれた記事になります。



が、冒頭のような経験をした大人ならば、電車の現在位置によっては、「緊急停止ボタンを押さない方が有利なのでは?」「患者はより苦しまずに済むのでは?」という考えが頭をよぎると思います。


ただ、この記事をよくよく読んでいると、その後に登場しているボタンは緊急停止ボタンではなくて、非常通報機
ただし、その下に「列車が緊急停車すると共に乗務員と通話ができます。」と書いてある。

さらに、その先を読んでみると、

  • 基本的には電車を停車させずに次の駅まで運行する
  • JR東日本や小田急電鉄では、ボタンが押された場合、電車の乗務員が乗客と通話ができる装置を使って車内の状況について聞き取りを行ったうえで安全確認のため、電車を原則としてその場に停止させる。
  • ただし、橋りょうを走行しているときや最寄りの駅まで近いときは停止をしないこともある。

とのこと。

どうも、通称「緊急停止ボタン」と言われてしまっていたり(駅ホームに設置されたボタンと間違えてる?)、注意書きに「列車が緊急停車する」と書いてあったり、あるいは、冒頭の2月6日の上野東京ラインのような経験をしていたり、「橋りょうを走行しているときや最寄りの駅まで近いときは停止をしないこともある」という判断が妥当に行われないことを目の当たりにしていると、「ボタンを押さない方が病人を早く正しく救えるのでは?」という考えも浮かんでくるのではないかと思います。

記事の中では、
 「子どもが押すなよ
 「あー遅れた!
 「遅延すると困るじゃないかー
という声が聞こえてきたという、ネガティブな話が載っているのですが、恐怖感から主観が歪んで(バイアスがかかって)、ネガティブに周囲の声を捉えてしまっているような気がします。

あるいは、周囲を悪者にしたほうが、主人公の勇気が強調されて、記事として面白くなるという大人の判断が働いているのかもしれません。

いずれにせよ、このボタンの正しい効能が正しく広まり、車掌・運転士も「まずは停止させるべしという判断をやめる」ということを徹底する必要がありそうな気がします。

  • 通称「緊急停止ボタン」と言われてしまっていることを払拭する(駅ホームに設置されたボタンと間違えてる)。
  • 車掌と会話するためのボタンであることを周知徹底する。
  • 運転士は、ボタンが押されたからといってただちに停止させるのではなく、車掌が収集した情報を得てから判断することを徹底する。(どうやらそれが正しい運用らしいので、とっさに停車してしまうという運転士の考えを改めないといけない)

とにかく、今必要なのは、誰か(周りの大人とか)を悪者にして人情話を広めるのではなく、正しい情報の周知徹底と、運転士の意識改革かと思います。


posted by ayacy at 00:49 | Comment(3) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
上野東京ラインで運転士をしている者です。

大多数の鉄道事業者は国鉄で制定した運転のルールを基本にしているので、いまでもほとんどの会社が同じだと思いますが、車内非常通報装置(おっしゃる装置の事は現業でもこう呼びます)が押された場合は運転台でアラームが鳴ります。
このとき、基本的に列車を停車させる理由として、非常通報装置が押された直後の段階では最悪の事態を想定しているためです。
列車の運転中での最悪の事態は、列車火災とされています。なんらかの理由で列車内で火災が発生している場合、当然ですが一刻も早く全員が列車から離れる必要があるからです。
そのため、運転再開に時間のかかる箇所を避けるよりも、停車を優先させるのが基本とされています。

駅が近い場合にホームまで走行するのは、火災での避難誘導の際にホームがない箇所よりもホームがあるほうが避難誘導に適しているからで、ホームまでの信号の状態を考慮して行ける場合はホームまで行きますが、上野東京ラインの東京駅近辺の場合、列車間隔が詰まっているので先に停止信号が見えてる場合は、やはり私でも停車を優先させると思います。

興味があれば、北陸トンネル列車火災事故、などのキーワードで検索されると良いかもしれません。

ただ、8割ほどの車両に通話機能が併設されている今の現状を考えると、基本的に停止させるというルール自体に疑問を感じている運転士もおります。
しかし、それ以上にもし列車火災が発生していた場合、直ちに停車させていない事実が運転記録装置などにより後から認められたとき、法律上の罪に問われるのは運転士ですから、取り扱いや運用の実態が変わる事はないでしょう。


余談ですが、今回のシチュエーションについては列車の駅停車中に車内の非常通報装置を扱う、が急病の方と周りの列車運行にとってベストアンサーです。とは言っても、そんなことまで考えて扱うお客さまはおられませんが。
Posted by ななし at 2019年02月26日 07:53
最善の行動を取りたいという気持ちはとても良く分かりますし良い事だとは思うのですが、
緊急時にその場に居る乗客個々人にその判断を委ねる(押すタイミングやそもそも押した方がいいのか)のは、現実的に考えて無理があると思います
なので「緊急時はとりあえず押して」という単一の(恐らく様々な事態に対して最も「最善である可能性が高い」)正答を用意しておくのが、緊急事態を前にした乗客に第一通報を任せる際の運用上の現実的な解なのではないかと感じました

その上でそれを受けた乗務員の行動の調整を…… とコメント欄を開くまで思っていましたが、現業の方のコメントで、そちらはそちらで事情や考えがあるのだな……とも
Posted by 名無し at 2019年02月26日 10:07
コメントありがとうございます。
運転士様の立場としても、クビになる覚悟を犯してまで最良(かもしれない)判断を優先させるというのは、選択肢としてはあり得ない状況そうですね。

そのあたりを考慮すると、急病人の苦しみが10分延びる(かもしれない)ことを鑑みても、より起きやすい状況、より最悪の状況…と想定していくと、やはり仕方のないことかもしれません。

乗客に「とっさに」「正しい」判断を求めるのも難しいところですが、ボタンが押された直後は情報もない状況で車掌/運転士が「とっさに」「正しい」判断を求められるのもまた同様に難しいですね。

通話onlyのボタンの普及と認知度向上に期待したいです。
Posted by Ayacy at 2019年02月27日 00:45
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