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■映画評論家の目線とか、ディープなファンの目線とか…。ベイマックスの一番最後のシーン

2020年11月 2日(月) 0:00:00 [さくらのブログから転記]



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ディズニーのアニメ映画「ベイマックス」を初めて映画館に観に行ったとき。

この映画の話を最初に聞いたとき、兄弟の絆というか、死んだ兄が残したロボットと弟の絆が描かれる感動のストーリーという印象を受けて、興味を抱けず、観に行く計画は立てていませんでした。

ただ、その後、ネット上のうわさで「どうやら(良い意味で)宣伝詐欺らしい」という話が聞こえてきて、兄(の代わりのロボット)と弟の絆と感動のストーリーは前半までで、後半はかっこいいロボットとアンドロイドがバリバリ戦うヒーローものになってしまうという話を聞いて、突然気になり始めて観に行って大変満足したということがありました。

ただ、その時の感想を見ていると、マーベルのヒーローモノであることまでは気づいているものの、その先に踏み出せていない感がありました。それまでに、アイアンマンとか、アベンジャーズ系の作品を色々見ているにもかかわらず。(たぶん、この時点で原題は「Big Hero 6」であることは気づいていましたが、所詮はそこまででした)

というか、この時点ではマーベルの各映画作品に、スタン・リーがカメオ出演していることに気づいていませんでした

なので、映画「ベイマックス」の最後のシーンで、急におじいちゃんが登場し、じゃじゃーんと文字(カタカナの名前)が出てきて終わるということの意味が分かっていませんでした。

その後、ようやく、マーベルの各映画作品に、スタン・リーがカメオ出演していることに気づき、最後のシーンにおじいちゃんが突然出てくることの意味を理解しました。

その後、シュガー・ラッシュ:オンラインを観た時には、スタン・リーの登場にその場で気づけました。多分その時は、スタン・リーが亡くなった直後ということもあり、より一層目を光らせていましたし。

この時、単純に、単発で映画を観に行って感想を抱いたり、感動したりという観点のみではなく、「ディープなファン」の方達が考える独自の目線であるとか、シリーズ・監督・脚本・過去の参考作品・その他諸々一連の流れを踏まえての捉え方を考える「映画評論家の目線」の重要さに気づいた気がします。

映画評論家の目線は、例えば、この監督の前の作品ではこういう意図でこういう表現をしたから、今回のこの表現はこういう意図だろう、とか。

監督が変わったから、新しい監督の過去作品の明るさ/暗さを反映して、この作品もこういう明るさ/暗さになったのだろう、とか。

この映画を作る上で参考にしたはずの作品はこうだから、その流れを踏襲しているはずだ、とか、リスペクトしているからこのシーンが登場している、とか。(初代ゴジラでは芹沢博士がこうだから、最新のハリウッド版ゴジラの芹沢博士もここでこうして…みたいな)

このシリーズだから、こういう演出が登場するだろう、とか。

ベイマックス(Big Hero 6)とシュガー・ラッシュ:オンライン(Ralph Breaks the Internet)はどちらもディズニー映画だけど、マーベル的な作品でもあるので、"当然" スタン・リーが登場するだろう。その前例はディズニー映画といっても覆すことはできないはずで、ディープなファンはそこを見に来るから、製作側もそこは外さないはず。みたいな目線。で、実際にさりげなく、あるいは突然登場して、さっきまで "当然" とか言っていたはずなのに、急に出てきたことに感動して、この感動を他の人と共有したい!と思うようになったり。

シュガー・ラッシュ:オンラインの場合、テレビの宣伝では、ディズニープリンセスたちが次々登場してみたり、スターウォーズやマーベル各作品のキャラが登場して見たりすることを前面に出してました。

インターネットを使う人に対しては、TwitterやGoogleなどのリアルなサービスを登場させることで驚きと納得をさせていました。

日本のYouTubeを見ているファンに対しては、ラルフがユーチューバーになることから、とあるシーンでHIKAKINさんを登場させて驚かせていました。(日本語吹き替え版のみ→参考ページ)

で、ディープなマーベルファンに対しては、マーベルの各作品のキャラと関連したセリフを登場させるだけでなく、さりげなくヒロインにぶつかるキャラとして一瞬だけスタン・リーを登場させることで喜ばせました。

1つの作品を見るときに、様々な視点を持っていた方が、より立体的に楽しめるし、より立体的に感動できると言えます。

で、たぶんこれって、映画だけでなく、テレビドラマだったり、テレビアニメだったり、小説だったり、ゲームだったり、舞台だったり歌舞伎だったり落語だったり、ミュージカルだったり……でも同じことが言えそうです。

オカルト・都市伝説・陰謀論を語る場合も歴史/文脈/常識(=最低限の知識)があったりするようなので、エンタメ全般的に言えるのかもしれません。

今から思い出してみると、劇団四季のライオンキングを観に行ったとき、おそらくコアなファンの方たちと思われる人たちが拍手をするのって、おそらく所見の人とはズレたところだったような気もします。それって、コアなファンならではの目線があるんだろうなと思います。

歌舞伎版のナウシカで、水が舞台上に多く流れるシーンも、わざわざ長い髪を振り回す演出も、おそらく作品のシナリオの内面そのものとはあまり関係がないものの、おそらく歌舞伎の文脈を知っていて見れば、楽しめる演出だったんだろうなと思います。

あらゆる分野におけるあらゆる視点を自分の脳に叩き込むには、もはや時間が足りない。

コンテンツがあふれる世の中に生きていながら、実にもったいないことをしているなと、思うばかりです。




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