2013年04月09日

公開ソフトの、サポートOSの切り捨て時とは

自分にとっては「何を今更?」感が強いのですが、「“XP”サポート終了で注意呼びかけ(現在はリンク切れ)ということで、Windows XPのサポートがあと1年で終了することが、NHKで大きく報じられたことが話題になっておりました。

すでに、2001年に発売されたOSであり、むしろ「よく13年もよくサポートを続けたもんだ」と思うところであります。

この報道の中では、ここにきて「延命措置を」というユーザーの声を紹介していますが、しかし実際には「現在がその延命措置の期間」だったりするし、そもそもマイクロソフト自身は発売時点にはすでに「サポート終了の日」を発表しているわけですから、どう考えてもここで延命措置を願い出るというのは、甘えに聞こえてしまう。

しかもそれって「タダでやってくれ」ってことを明確に言っていますからね。
日々新しい脆弱性への対応をしていく中で、それに対して日々サポートをしていくというのは、人件費・電気代・等々お金がかかることです。それに対して「タダでやってくれ」というのは、なんとも虫のいい話です。

が、なかなか「一般の方」相手では、そうも言っていられないのでしょうね。

僕自身、当サイト公開のソフトについて「すでにサポート切れになったOSについて、ソフトウェアの対応としてのサポートを終了する」という行動を行わなければならないことがあります。こういうことは、過去に2回ありました。

具体的には、

・Windows 95/98/Me を対応OSから外す
・Windows NT 4.0/2000を対応OSから外す


ときでした。

ポート対象から外す理由はいくつかありますが、例えばすでに過去のモノとなったOS上での動作確認の手間を減らしたかったり、旧OSに引きずられて使えな
いままになっている新しいAPIをスムーズに使いたかったり、ユーザーサポートの手間を減らしたかったり……、が主な理由です。

実は、こんなエピソードがありました。

窓の手」の作者である猪川さんとお会いしてお話しさせていただいたとき「Windows 95を対応OSから外したら、苦情のメールが殺到した」というお話を伺いました。

当時、さすがにWindows 95を使っている人なんていないだろう…とか思っていた中で、そういうことがあって、とても驚いたとのこと。

なので僕が、対応OSから、Windows 95/98/Me を外すことは、とても大きな決断でした。

そして、Windows 95/98/Me を対応OSから外すことを発表すると、案の定、ユーザーのブログ上では痛烈な人間批判みたいな文章を書くような人もいて(例:「Windows 9xをサポートから外すなんて、作者は頭がおかしい」「両親が死んで冷静な判断ができなくなったんじゃないか?」(注:作者の両親は健在です))旧OSを愛して止まない人ってのは、いるんだなぁと、とても強く思いました。

その後、月日は経ち、2012年の春には「Windows NT4.0/2000も対応OSから外す」決断をしました。

この時は、事前にユーザーアンケートを大々的に行い、ユーザーの使用状況を確かめ、さらに旧OS対応時のバージョンを最低半年間は公表し続けることを発表しまして、十分な準備を行った上で、「Windows NT4.0/2000も対応OSから外す」ことを実施しました。

さらには、アーカイブページと称して、3年前までのバージョンを全て公開しました。

その結果として、ユーザーからの批判の声は届きませんでした。ホッとしました。
逆に、ここまで入念に準備しないと、「ユーザーサポートOSを切り捨てる」判断ってのは、難しくなっているんですね。

考えてみれば、作者へ痛烈な批判を寄せるなどして、それでも旧OSを使い続けたいことの裏には、『それなりの背景』が隠されているのかもしれません。今日はそれについて考えてみたいです。

例の批判ブログを書いた方の場合、僕の記憶によれば、「まだ古いOSを使っている人もいる!」というのが、主な主張となっていました。
よく言えば、古いモノを大切に使う、悪く言えばセキュリティもへったくれもないモノを使う方というわけですね。


際、「現場」のことを考えると、これまでうまく動いていたモノが、急にメーカーや作者の都合により一方的に「サポートされなくなる」「使えなくさせられ
る」などというのは、ビックリすることかもしれません。例えサポート終了の広報活動に、メーカーや作者側が十分な時間をかけていたとしても、使用者がそれ
を知らなければ、意味がないですからね。

また、利用者にとっては、(セキュリティレベル等実態はどうあれ)「まだまだ使えるモノ」という認識は強いと思います。特にWindows XPが入ったPCならば「まだまだ新しい」という認識は強いはず。

「このエアコンは、まだまだ使えるから」「この冷蔵庫はまだまだ使えるから」と、何十年も前の家電を使い続けているのは不思議な話ではないですが、まさにそれがパソコンに適用されているのかもしれません。

(が、実際にはパソコンの中のソフトウェアなんて生ものみたいなモノですから、放置すれは腐ります。
 実はエアコンや冷蔵庫だって、何十年の前のモノを使っていれば、いつ発火するか分からない危険があるかもしれないし、ムダに消費電力が大きかったりするかもしれないし、放置は良くないものだったりしますが、見過ごされます)

…でもそんなことは、「孫とメールのやりとりをしたいおじいさん/おばあさん」「ITにさほど詳しくないIT担当者/部門責任者」達にはわからないでしょう。


た、先のNHKのニュースの場合だと、震災の影響で耐震性の補強を行うことを優先したと書いてあります。やはり、目に見える危険を意識したということで
しょう。結果として、お金が無くなり、OSの更新ができなくなってしまった。実は目に見えないセキュリティの脅威があるが、それは目に見えないから存在し
ないに等しいということでしょうか。とにもかくにも、お金が無くなってしまった。だから更新できない、と。
(だから、タダでサポートを続けて欲しいとマイクロソフトにお願いしている)

現場レベルで見ると、なんだか悲しい事情が見えてきます。
先の、作者に対し「ユーザーサポートOSを切り捨てる」判断に対する痛烈な批判を寄せるユーザーというのも、なにかこういう、悲しい事情を抱えていたのかもしれません。

そういえば、僕の本業の方でも、OS更新の恐怖が迫っています。
こちらはPCがリース契約になっていて、リース期限が過ぎると、PCをいったん返却し、新しいPCがリースされる仕組みになっています。
先日までは、「Windows 7が入った状態で貸し出されたPC」に対し、「ダウングレード権を発動し、Windows XPを入れて使う」というようなことをしていました。

これは部の方針とか、プロジェクトの方針とかの都合があります。
Windows XP上でしか動作確認をしていないツールが山のようにあって、それらすべてがWindows 7に対応できるか分からないですからね。

ですが、そんなことも言っていられません。まもなく、Windows XPへのダウングレード権などと言っていられなくなりますから。

そこで、Windows 7への移行対策の一環として、僕の斜め前の席の同僚が「プロジェクト内で使っているツール100本について、互換性を調べて対応する」任を受けました。無茶振りもいいところですが、やらねばなりません。XPのサポート期限が切れるのですから。

とはいえ、ツールと言っても様々なモノがあります。

・過去の偉人達が作ったExcelマクロ
・よくわからん言語で書かれたツール。もちろん最新ソースの位置など不明。そもそもそんなものはあるのか?
・10年以上前に、隣国に発注して作ってもらった便利ツール。発注時の仕様書など、あったりなかったり。
・作者不詳となっている社内ツール
・すでに作者に連絡を取ることも難しくなってしまったフリーソフト/シェアウェア
・等々...

これらの、Windows 7での使用可能性を確認しろというわけ。

が、確認したところで、その後どうするのか?
Windows 7へ対応させるのか?
対応させるにしても、無理なものもある。代替ソフトを探すか。でも、複雑な手順の一部として組み込まれているツールの場合だと、input/outputのフォーマットが変わっただけで周辺ツールへの改修が発生する。それはどうするのか。

そもそも、対応させるにしても、それを行う人・モノ・金はどこから供給されるのか?

世の中が好景気なら良かったかもしれません。潤沢に人・モノ・金を投入できますから。
でも今、世の中は不景気です。そんなことに投入する金なんかない。でも、まもなくXPの使用期限は切れてしまう。どうするのか? サビ残(法律違反)してでも、この任務をこなすのか? リース期限による強制返却とWindows 7の到来は、もうすぐそこに来ている!


てか、業務で使っているかぎり、Windows
XPの機能で十分であると思えてきます。Vista以降で登場した新機能なんて、意味のないものばかりだし。もしかしたら、マイクロソフトは、
Windows XPくらいの製品を、ずっとセキュリティアップデートするだけで対応してくれるだけで、もう十分じゃないのでしょうか。

もちろんそのためには、継続的にマイクロソフトへ金銭を提供し続ける方法が必要になるでしょう。保守費用ってやつです。サポートを続けるマイクロソフトだって、人・モノ・金で動く企業なわけですからね。

現場の意見としては、使用感も変わらず・古いPCをできるだけ長く使い続けることができ・業務で使用しているツールについて深く考える必要も無い、Windows XPをなんとか使用し続ける選択肢があったらいいなぁと思っているのでしょう。

……
そこまで考えると、この「いきなり100本のツールの互換性を確認してナントカしろ」と無茶振りされた同僚のこととか考えると、なんとも現場の悲痛な叫び
声みたいなのが聞こえてきて、上記のNHKにインタビューされた人の背景事情も見えてくるような気がして、なんとも悲しい気分になります。

それにしても、NHKは公共放送として、この件をもっと早く報じるべきだったかと思いますね。もう3年早ければ、色々と柔軟に対応できただろうに。
マイクロソフトがたっぷり広報しても足りていないところを、公共放送たるNHKが補うべきだった。そうなれば、こんなギリギリになって、「あたかもマイクロソフトの対応がマズイ」みたいな報道の仕方をしなくても良かったのではないか。

まぁ、
無理でしょうね。世間は「鬼気迫ったニュース」でないと飛びつきませんから。仮に「3年前に報じて」いたとして、視聴者は「あと3年あるのか」と、見過ご
してしまっていたことでしょう。そしてすっかり忘れ、サポート期限が残り1年と差し迫ったとき「そんなの知らない、タダで対応しろ」とか言い出すのでしょ
う。

NHKとしても、世間が飛びつかないような ”どーでも良いニュース” なんか報じたくないでしょうね。

そういえば、こういう人々は、マイクロソフトがいくら「Windows 8大安売り」キャンペーンをやっていたとしても、何とも思わなかったんだしなぁ。
(XP時代の古いPCでは、Windows 8は動かないか…)

******

話は元に戻りまして、当サイトで公開しているフリーソフトについて、「Windows XPを切り捨てる」のは、いつにすべきでしょうか。
XPのサポートが終了し、しばらく経ってからの場合、人々はこのニュースで沸いたことなど忘れて、また「作者批判」が展開されてしまうかもしれません。
「現場の悲しい事情も考慮せずに対応を切るなんて人として失格だ!」みたいなやつ。

まだまだ「Windows XPは、世界で最も使われているOSだ」みたいに思い込んでいる人は多いでしょうからね。
「そんなOSを切るなんて、なんてヤツだ」ってなるんでしょうね。

となると、どうでしょう。
ここまでセンセーショナルに報じられている今こそ、「Windows XPを切り捨てる」のが絶好のチャンスなのではないでしょうか。
様々な事情を考慮すると、そう思えても来ます。

まぁ、すぐに切るようなことはしないけどね。

ただ、現場にいかに悲しい事情があろうとも、対応OSを切るときゃ、切ります。断固たる意思で切ります。
その時は、どうぞご理解下さい。

******

この文章は、先日Twitterでつぶやいたことのまとめなのですが、この日は、件のNHKでインタビューを受けた人の発言への批判が、数多く見られた日でした。
ただ、このインタビューを受けた人というのが、どういう背景事情があったのか、もう少し汲み取ることができれば、批判が少し和らいだのではないか、とも思ったり。


れから上の文章中の「……Windows
XPの機能で十分であると思えてきます。Vista以降で登場した新機能なんて、意味のないものばかりだし。もしかしたら、マイクロソフトは、
Windows
XPくらいの製品を、ずっとセキュリティアップデートするだけで対応してくれるだけで、もう十分じゃないのでしょうか……」に相当する部分のツイートだけ
が切り取られて、どんどんリツイートされていく様子が見えていました。どうやら、この文章だけを見て、批判的な思いを抱いた人が多かったらしいです。

が、ご覧の通り、上記の文章は、「悲しい現場の事情を捉えたらどうなるか」の一部分を抜き出したモノでありますから、それが僕の述べたい結論ではありません。
しかし、どうもTwitterというのは、一部分が変に切り取られて、おかしな風に飛び回ってしまうもの。仕方のないことではありますが、それもまた悲しいことではありますね。

※参考:2013年4月12日 Windowsのバージョンアップは機能が切り捨てられているのか?
※補足:2013年4月18日 「OSを動作対象から外す」が意味するところは人により違うみたい
posted by ayacy at 00:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | フリーソフト
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