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■自分でしか使わないソフトとフリーソフト、作らなきゃいけないものの差

2014年 5月 2日(金) 0:00:00 [さくらのブログから転記]



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ちょっと前に書いたとおり、最近ではプログラミングをする場合って、単にスキルアップ目的とするモノだったり、自分向けに余り深く考えずに作るモノだったりすることが多いです。

(最近はお仕事の方でも、管理ばっかりで、プログラミングする機会が皆無になってしまいましたから……、そんなもんですね)

最近作ったモノと言えば、スキルアップ目的の、自分用のFacebookアプリ
指定時刻になると自動的に自分のウォールへ投稿するというもの。レンタルサーバのCRONと、それを契機に実行するWeb APIを駆使してつくりました。

他には、スマホからPCへ、余り難しいこと考えずにファイルを転送するためのアプリとか。大量だったらケーブル繋いで転送するし、一般的にはEvernoteを使うとかすれば良いわけですが、ケーブル繋ぐほど大げさではないし、かといってプライベートなモノを他人のところに一時的とはいえ置くことはリスクがあるし…。

こういうものをいくつか作っていると、かつてフリーソフトを作っていた時にあったような”余計な”やるべきこととか、強迫観念とかから解放されていることが実感できます。例えば、


  • ドキュメント
  • ドキュメント以上のわかりやすい説明と宣伝広報
  • ユーザーサポート
  • 大手オンラインソフト転載サイトへの各種手続き
  • セキュリティ


等々。

特にSNSに対して指示を発行するアプリを作る場合や、公共空間にプライベート情報を通す場合、脆弱性とセキュリティは絶対に考えなければならない問題です。また、いわれのない誤解を防ぐための手段も講じる必要があります。

昔は――特にパソコン通信時代だったならば――、使用しているフリーソフトにバグが発見されたなら、それを作者へ報告し、新バージョンが公開されるまでは、そのバグに触れないように使うのがマナーってものでした。

それが現在では、悪意のあるアホなユーザーがバグにつけ込んでゼロデイアタックを仕掛ける時代になりましたからね。
また、少しでもセキュリティ的なインシデントがあれば、無料公開されているフリーソフトだろうと何だろうと、セキュリティなんとか協会とかいうところが作者への報告と共に、一般社会へ晒し者にし、日々辱めを施してきますからね。

まぁ、悪いのはバグを出した作者なんでしょうけど、フリーソフト作者を育む社会としては、かなりやりづらい時代になってしまったと思います。
日曜大工的な感覚で休日だけを趣味のプログラミングに費やすなんてとんでもない。月曜日に脆弱性が見つかって、次の日曜日にバグ修正をしようとしたら、6日間もインシデントが続きますからね。いやはや、怖い怖い。

(そういえば、某セキュリティ会社からの誤報で1年8ヶ月苦しめられた例もありましたっけね。これもまた、オンラインソフトを世間で公開していることのリスクと言えるでしょう。ソフトを公開していれば、誰であろうと、どんなに小さなソフトだろうと、マイクロソフトやアドビだろうと、つきまとうリスクです)

多分、趣味のプログラミングでやるべきことと、その周辺事情に対して行うべきことって、たぶん後者の方が多い。

ソフトのバージョンアップ作業は30分で終わっても、ドキュメントの修正~脆弱性の調査~アップロード~各種転載手続きは3時間くらい。さらに、セキュリティ会社と世間から誤解されれば、それを解くのに1年8ヶ月。

自分だけのためだったら、たったの30分で終わることが、社会との関わりを持つことで1年8ヶ月3時間30分に膨れあがるって、これがインターネット時代のフリーソフト公開のコストなんですね。アホらしい。

ちなみに、通常の日常生活で、社会との関わりを断つと、経済的に、衣食住的に困窮して死ぬのは目に見えていますが、フリーソフトの場合は経済も衣食住も関係ないので、困窮して死ぬことはありません。

まあ、人間は社会性のある生き物なので、誰かからフィードバックをもらってソフトを発展させていく喜びってのは失われるでしょうけど。
「誰かからフィードバックをもらってソフトを発展させていく喜び」と「1年8ヶ月3時間30分のコスト」の天秤を考えると、ずいぶんなハイリスク・ローリターンだなぁと。

性善説インターネットがここまで悪用されることが確認された世の中になってしまうと、このハイリスクをローリスクに変えていくことは無理でしょうね。
でもこのバランスが改善されて、せめてミドルリスク・ローリターンになるか、ハイリスク・ミドルリターンくらいになってくれたら、うれしいです。






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